前回に引き続き、今回もアメリカのビザと種類と特徴についてです。
まず、前回はBビザについてご説明しました。
念のため、「そもそも、ビザって何だっけ?」についての記事はこちら。
本日は、Eビザについてご説明します。
Eビザの概要
Eビザは、日本からの投資や日米間の貿易を目的として渡米する人に適したビザで、その主な目的は、「日本を含むアメリカと通商条約を締結した国との間の経済活動を円滑にし、促進すること」です。
そのビジネスの形態により、貿易ビザ(E-1)と投資ビザ(E-2)に分かれ、Eビザ保持者は、そのビザをスポンサーした雇用主に雇用される場合に限り、米国で労働を行うことができます。
基本的には5年間有効のビザが認可されますが、その要件が充分に満たされていなければ、期間が縮小されて、2年や1年の場合もあります。
EビザはHやLなどの他の労働ビザとは違い、毎年発行されるビザの数に制限がないという特徴があり、申請時のビジネスに従事していれば、無期限に延長が可能です。延長には、その事業が継続しているという証拠書類を提出する必要があります。
移民局への嘆願書提出は不要ですので、直接、日本のアメリカ大使館へ申請書類を提出できます。
E-ビザ取得の手続き
Eビザ申請の最初のステップは、アメリカにおける企業または事業の適正を認めさせることです。
このプロセスは、「企業登録」と呼ばれるものです。所有者や従業員のためにEビザを申請する企業は、まず東京の米国大使館または大阪の総領事館に登録をする必要があります。
登録完了後にForm160・156Eを準備、大使館・領事館での面接という段取りになります。
E-1ビザ(貿易によるビザ)の取得要件
E-1ビザの条件は、「日本を含むアメリカと条約国と申請者の間で、実質的かつ継続的な貿易活動をおこなうための渡米であること」です。
具体的に挙げると、次のような条件を満たさなければなりません。
- 申請者は条約国の国籍であること。
- 申請書の勤務先となる会社の国籍は条約国であること。
- 会社の所有権の50%以上を申請者と同じ国籍の者が所有していること。アメリカの永住権を持つ者はこの国籍要綱から除外される。
- 国際貿易が相当額かつ継続した取引であること。
- 貿易は主として米国と条約締結国間の取引であり、全体の貿易の50%以上が米国とその国の取引であること。
- 申請者はE-1としての任務が終了後、アメリカを離れる意思があること。
企業登録に必要な書類は、以下をご確認ください。
- 企業の国籍の証明として過半数以上の株主のパスポート、
- 貿易がすでに行われれている証拠として、発注書、請求書や送り状
- 日米間の貿易であることの証明として、貿易割合を示した書類や税関書類
- 相当額の貿易である証拠として、決算書・税務申告書やバンクステートメント
E-2ビザ(投資によるビザ)の取得要件
E-2ビザは、「申請者が相当額以上投資したアメリカ国内の企業を指揮したり支援することで、業務を拡大させるための渡米であること」が条件となります。
具体的には、次のような条件を満たさなければなりません。
- 申請者は条約国の国籍を持つ者であること。
- 投資がすでに行われている、あるいは投資過程であること。
- 投資家は資金の主導権を握っていなければならず、その資金は損失を伴う恐れのある投資でなければならない。
- 投資は実態のある企業への投資でなければならず、投機的または消極的な投資は該当しない。
- 投資が相当額であること。その会社を順調に運営できるための十分な額であること。
- 投資はようやく収支が賄う程度の小規模なものではならない。その投資は投資家と家族の生計を支えるために必要な金額をはるかに上回る収入をあげなければならない。あるいは、米国に著しい経済効果をもたらすものでなければならない。
- 投資家はその企業を促進、指導することを目的に渡米しなければならない。
- 申請者が投資家本人でない場合は、管理職または役員あるいはその会社に必要不可欠な知識を要する職種として雇用されなければならない。
- 申請者はE-2としての資格が終了後、アメリカを離れる意思があること。
企業登録に必要な書類は、以下の通りです。
- 企業の国籍の証明として過半数の株主のパスポート
- 投資がすでに行われている証拠として、支払い済みの小切手、銀行証明や写真
- 新規設立の会社は、当初の出資金額の証明書
- 事業がすでに行われている証拠として、財務諸表、税務申告書、バンクステートメント
- 従業員を雇用している場合は、W-2やその他の給与支払い証明書
- これらの書類に、申請者の履歴書・卒業証明書・雇用主からの手紙などをそえて提出要。
Eビザ申請が可能な条約国
E1ビザ・E2ビザの両方の要件で出てくる「条約国」につきましては、こちらのリストから確認ができます。ご参照ください。
まとめ
Eビザの要件には、輸出入の実績の数や投資額などの基準がはっきりと明記されていないため、個人では、どのビザが適切なのか含め、ビザの可能性に対する判断が難しいところがあります。
アメリカ進出をお考えの場合は、事業に対して実際に投資を行う前に、専門家を通して事前確認をされることをお勧めいたします。
上記を含め、このブログで記載する法律に関連する内容に関しましてはすべて、米国移民法専門の堀隆幸弁護士にご確認いただいております。お含みおきください。
本日もブログをお読みいただきまして、ありがとうございました。
参考資料:米国移民局情報サイト、米国国務省情報サイト